はれときどきくもり

人生晴れた日もあれば曇った日もある。いい時も悪い時も人生を楽しもう。

タスククエスト ー月がとっても青いからチェックリストを書こうー

: 2012年9月7日

第十四話



photo credit: PAKUTASO

わたしは、チェックリストと言われても、何をどうしたらいいかわからず、途方にくれながら家路をたどっていた。ぼんやりと満月を眺めながら歩いていると、目の前が不意に明るくなった。目を細めながら明かりの方角に振り向くと、一件の本屋があった。

そういえば、ここ改築していたっけな。そうか、本屋さんができたのか。本好きとしては、帰りに気軽に立ち寄れるのは、嬉しい限りだ。

そんなことを考えながら、わたしは、『オープン記念100人目のお客様にチェックリストの活用法教えます』というようなことが起こらないかな、とあらぬ期待を抱きながら、ふらりと本屋に立ち寄った。

中に入ると、むせかえるような本の香りが漂ってくる。わたしは少しもじもじしながら、店内をぐるりと見回した。ずらりと並んだのっぽの本棚に、通勤ラッシュの山手線もかくやという趣で本が納まっている。店の奥には、やけに体格のいい店主が、古めかしい椅子に座り重そうな本を読んでいる。あんな重そうな本を読んでいるから体格がいいんだな、とわたしは一人納得しながら、本棚の間を歩き始めた。

本屋に行くと、つい端から端まで本棚を眺めてしまう。幼なじみの彼女、いや係長は、そんなわたしを「見た目の割に細かい」とよくからかう。そんなことを思い出しつつ本棚を眺める。

漫画コーナー、…おっ!『ダイの大冒険』が全巻揃っている、ここの店主は趣味が合いそうだ。

小説コーナー、…『学生服の少年(絵:ふじもなお、文:とし)』か。なぜか気になる本だな。

仕事術コーナー、…『タスククエスト』!

んん!?なんだか聞いたことがある題名だぞ!

わたしは、その古びた本から目を離せなかった。そして、引き寄せられるように手を伸ばすと、本の背表紙にそっと手をかけた。

「その本が気に入ったのかい?」
突然真後ろから声をかけられ、わたしは驚きのあまり本を落としてしまった。振り向くと、体格のいい店主が落とした本を拾っている。

「その本が気に入ったのかい?」
さっきと全く同じ台詞を同じ抑揚で話す店主は、意外にも愛想のいい顔で笑った。

「チェックリストについての本を探しているんだ。」
わたしは、チェックリストのことを思い出したので、見当違いのことを答えた。しかし、店主はそのことを気にする様子でもなく、「それならこいつがオススメさね。」と愛想よく手際よく一冊の本を出した。

『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』

店主の手際の良さに驚きつつ、そのものズバリなタイトルに惹かれ、わたしは買うことに決めた。「じゃあ、これにするよ。お会計お願い。」と言うと店主は、サッと店内のポスターを指差した。

『オープン記念100人目のお客様にチェックリストの活用法教えます』

「お客さんは、ちょうど100人目だ。その本はただでいいよ。持って行ってやっておくれ。」わたしがあまりの僥倖に呆然としている間に、丁寧にブックカバーを付けた本を渡してくる。まるで機械でカバーを付けたように、端がきれいに揃っている。『日本カバー付け選手権』があれば、相当上位に食い込めるだろう。いや、世界も夢ではないかもしれない。

そんなことを考えていると、ふとレジの前に目が止まった。そこには、『ほぼ日手帳発売中』というポップと共に、手帳が並んでいる。なぜかこの手帳を買わなければならない気がして、手を伸ばそうとした時、係長の声が頭に響いた。「としは、見た目の割にちまちました字を書くから、小さい手帳がいいわよ。」
ん?このセリフ、どこで聞いたんだっけ?まあいい、細かいことを気にしない性格なので、心の声は気にせず、しっかりした大きさが魅力的な『ほぼ日手帳カズン』に手を伸ばした。

その瞬間、ごつい体から想像もつかないすばやさで、店主が『ほぼ日手帳カズン』を取り上げると、「悪いね。こいつは売り物ではないんだ。」と言いながらレジ奥にしまった。そして、またも手品のようにヒョイとペンと手帳を取り出して、「代わりにこいつを使ってやってくれ。本のおまけさね。」と差し出した。

少し小振りなペンと手帳は、不思議とわたしの手に馴染んだ。まるで、DIOがジョセフの血を吸ったかのようだ。WRYYYYYーッ!

最高にハイになり、気分良く本屋を後にしたわたしは、満月が照らす道を急ぎ足で家に向かった。早く本を読みたかった。家に着くと、着替えるのももどかしく、本を開ける。序盤から引き込まれたわたしは、時間が過ぎるのも忘れるほどに、ただページをめくり続けた…。

解説

第十四話を読んでくださって、ありがとうございます。

さて、今回としは一冊の本に出会います。それはアトゥール・ガワンデさんの『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』です。

としが引き込まれたように、わたしも引き込まれました。手術や飛行機の運航といった手順が複雑で少しのミスも許されない世界で、チェックリストがどのように活用されているのか、ということを実例をたくさん挙げて説明しています。単純にこうするといいよという話ではなく、失敗例とそれをいかに乗り越えたかということも書かれているので、なぜそうする必要があるかという点の理解が深まります。

そして、良いチェックリストを作るためのヒントが多く紹介されているので、未読の方はぜひご一読ください。

読者コーナー

今回も読者コーナーのお時間がやってきました。
今回は、第十三話へのコメントを掲載します。

今回コメントをくださった方々はこちらです!
(掲載は、時間が早い順番です。)

ふじもなおさん、コメントありがとうございます!そうです、急展開なのです。現代編もお楽しみくだされば幸いです。

ひろきさん、いつも楽しみにお待ちくださって、感謝です!続きは着々と書き進んでいるので、どうぞお楽しみに。

さいころけいさん、二度読みありがとうございます!いきなりの展開で違う話かと思われたかもしれませんが、タスククエストは続きますよ~。

真波さん、早速読んでくださってありがとうございます!素敵な応援のコメントを今回も使わせていただきました。

ひろきさん、なんと嬉しいお言葉を!タスククエスト書籍化計画を目論んでいるわたしにとって、とても力強いです。

陣内さん、コメントありがとうございます!まさかまさかの展開なのです。この先にもご期待ください。

じーにーさん、続きが気になる発言いただき、感謝です!実はこの先は…おっと、まだ内緒なのです。どうぞお楽しみに。

おがわさん、いつもありがとうございます!コーヒーを吹かなくて良かったです。でも、この先にもコーヒーを吹くような驚きの展開が待ってるかも…。

さちさん、先が楽しみなんて、嬉しすぎます!でも、大サソリに食べられてないかどうかは、まだわかりませんよ~。

マーさん、コメントありがとうございます!そうなのです、突然の現代編なのです。冒険の旅の方はしばらくお待ちください。

みなさん、今回も素敵なコメントをありがとうございました。

というわけで、今回の読者コーナーは、これにて終了します。

いつも応援してくださるあなたに、心より感謝します。

また、こんないい方法もあるよ、というご意見がありましたら、わたし(@toshi586014)宛にお知らせください。
もちろん、ストーリーに関するご感想も大歓迎です。

それでは、次回またお会いできることを、楽しみにしています。

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

【前回のお話】

タスククエスト ー暗闇を抜けるとそこは…ー | はれときどきくもり

【タスククエストまとめはこちらです】

タスククエストとは?

このブログで連載中のタスク管理を題材にした小説です。ストーリーを楽しみながらタスク管理を身につけられるおもため話し(おもしろくてためになる話し)を目指します。興味をお持ちのあなた、ぜひこちら↓のタスククエストまとめをご覧ください。
また、書籍、記事の執筆等のご依頼があれば、積極的に受けさせていただきます。ぜひお声かけください。

メールアドレス→toshi586014あっとme.com(あっとを@に変換してください)
Twitter→@toshi586014

タスククエストまとめ | はれときどきくもり

【関連する記事】

ふじもなおさんの”シチュエーションお題”をまたまた考えた | はれときどきくもり

タスククエスト ー道具にはこだわれー | はれときどきくもり

タスククエスト ー冒険の準備はチェックリストでー | はれときどきくもり

Posted from するぷろ for iPhone.

広告

タスククエスト ー月がとっても青いからチェックリストを書こうー」への1件のフィードバック

  1. […] タスククエスト ー月がとっても青いからチェックリストを書こうー toshi586014.wordpress.com/2012/09/07/201… […]

コメントは受け付けていません。
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。