はれときどきくもり

人生晴れた日もあれば曇った日もある。いい時も悪い時も人生を楽しもう。

タスククエスト ー暗闇を抜けるとそこは…ー

: 2012年9月1日

第十三話


「とし…、とし…。」

耳元で優しい声が聞こえる。

「とし…、早く起きなさい。今日は冒険の旅に出かける日よ。」

うーん、冒険の旅だって。もう出てるじゃないか。さっきだって、大サソリと戦ったばかり…。

わたしはガバと立ち上がって、大声を出した。
「大サソリは倒したのか?幼なじみの彼女は無事か?」

クスクスと周りから笑い声がさざ波のように起こる。そして、笑い声の波の中から、ひときわ大きな声が波間を割って飛び出してきた。
「とし!あなた、また会議中に寝てたの!!」

わたしは、ぼんやりした頭で声のする方を見ると、そこには、幼なじみの彼女が、怒気を眉間からにじませ立っていた。
そうか、無事で良かった。でも、何で怒ってるんだ。わたしが森の奥に入ったからか?いや、それよりもあの格好はなんだ?まるでスーツのような服装は?

「聞いてるの!?」
再び彼女から鋭い声が発せられた瞬間、わたしは本当に寝ぼけていたことを悟って、急いで頭を下げながら答えた。
「はい、聞いてます!申し訳ございません。係長。」

「全く、これで何回目だと思ってるの。としは本当に寝坊助なんだから。」
と、幼なじみの彼女_わたしより数年早く入社し、今年は係長として新入社員のわたしたちの教育係に任命された_が、わたしを睨みながら言った。

「最近、変な夢を見て、熟睡できないんです。」わたしがあくびをかみ殺しながら言うと、「夢ってどんな夢?」と係長が真剣な顔で聞いてくるので、「え、ええと、わたしが係長と冒険の旅に出て、伝説のタスク管理ツールを探しに行くんです。そして、悪い魔王を倒しに行くっていう…」そこまで答えると、また会議室が笑い声で満たされた。

「としは冒険の旅に出てるらしい。」
「伝説のタスク管理ツールが見つかったら、おれたちにも教えてくれよな。」
「アレフガルドは楽しかったか?」
同僚たちが口々に、わたしをからかう。

しかし、係長だけは、難しい顔をして黙っていた。やがて、いつも通りの様子に戻ったかと思うと、北極のシロクマも寒さのあまりダウンジャケットを着てこたつに潜り込みそうなくらい冷ややかな目でわたしを睨んだ。
「だからといって、会議中に寝ていいってわけじゃあないわよね。」

「係長は夢の中でもずいぶん強気でしたよ。そうやって冷ややかに睨まれて、何度も氷像になるところでした。あははは…」
思わず口が滑って、しまった!と首をすぼめた。すると、案の定、係長の怒鳴り声が会議室に響いた。
「莫迦っ!まだそんな夢物語をしてるの!顔を洗って目を覚ましてきなさい!」

わたしはトイレに行って顔を洗いながら、頭を整理した。
ええと、わたしは叶商事に入社して、研修を受けてるところだったよな。それで、偶然幼なじみの彼女がわたしの教育係になって喜んだんだ。でも、その喜びも束の間、変な夢で寝不足だし、仕事はうまくいかないし。なんだか悶々とした日々を送ってる。
それとも、変な夢を見るのは仕事がうまくいかないせいなのかな?伝説のタスク管理ツールなんてのがあれば、わたしが欲しいくらいだ。

顔を拭きながら会議室に戻ると、係長と同僚たちがニヤニヤしながらわたしを迎えた。いやな予感がしてホワイトボードを見ると、でかでかと『伝説のタスク管理ツール探索係→とし』と書いてある。ご丁寧に、『とし』の部分には花丸まで書いてやがる!

「おめでとー!」
拍手とともに、歓声があがる。くそっ、寄ってたかって楽しんでやがるな。しかし、会議中に寝ていたので、強く抗議することも叶わず、わたしはがっくりとうなだれた。

「見ての通りよ、とし。がんばってね。」
ポンとわたしの肩を叩く係長の顔は、しかし意外に真面目だった。そして、あなたの肩にかかっているのよ、と囁くと皆の方に振り返って、「あなたたちもとしの手助けをするのよ。冒険の仲間ですからね。」と言い、場を沸かせた。

「さて、今日はそろそろ終わりましょうか。次回のテーマは…」
係長は、カッカッカッと小気味良い音を立てホワイトボードに書くと、「これよ!」とペンで指し示した。

『チェックリストの活用』

解説

第十三話を読んでくださって、ありがとうございます。

前回は突然の休載で、ご心配をおかけしました。また、励ましのお言葉をありがとうございます。
今は、すっかり元気になりましたので、タスククエストバリバリ書いております。

さて、今回からタスククエスト現代編が始まります!いきなりの展開で、寝ぼけたとし以上に驚かれたかもしれません。そして、あれ?タスククエストかと思ったら違う話になった?というあなた。ご安心ください。紛れもなく、タスククエストは続いております。

なぜなら、『人生はタスククエスト』だから!

ごめんなさい、思いついたので言いたかっただけです。

こんなことを言っている間にも、大サソリに倒されたとしはどうなったんだー!とか、謎の足音は誰なんだ?と言うあなたの声が聞こえてきます。ごめんなさい。後々明らかになるのでご期待ください。

というわけで、次回の会議は、チェックリストの活用がテーマです。お楽しみに!

読者コーナー

今回も読者コーナーのお時間がやってきました。
今回は、第十二話とタスククエスト休載のお知らせへのコメントを掲載します。

今回コメントをくださった方々はこちらです!
(掲載は、時間が早い順番です。)

さちさん、ありがとうございます!大サソリ怖いですよね~。足音の正体は…まだ秘密です!お楽しみに。

おがわさん、続きが楽しみというのは嬉しいお言葉です。ありがとうございます!今回もお楽しみいただければ幸いです。

ひろきさん、なんて素敵なお言葉を!おもため話(面白くてためになる話)を目指すわたしにとって、勇気が出る一言です!

じゅんさん、コメントありがとうございます!イヤになった時は、素直に休んでみるのもいいですよね。距離をおくと見えることもあるので。

真波さん、コメントありがとうございます!そうなのです、お休みも大事なのです。まさか、この後に、本当に休載するとは思いませんでしたが…。

たぁぼぉさん、ありがとうございます!ご声援のおかげで、すっかり元気になり今回のお話を公開できました。

真波さん、またまたありがとうございます!「物語の種を花にする」素敵な表現ですね。わたしの中の種を咲かすことで楽しんでくださったら、それはそれは最高に嬉しいです。

もあいさん、ご心配をおかけしました。もあいさんもお身体にはお気をつけてください。お互い健康に留意して、元気にバリバリいきましょー。

陣内さん、ご心配をおかけしました。おう、のー、というくらい楽しみにしてくださって、とっても嬉しいです!

さちさん、またまたありがとうございます!おらすっかり元気がでたぞ!

みなさん、今回も素敵なコメントをありがとうございました。

というわけで、今回の読者コーナーは、これにて終了します。

いつも応援してくださるあなたに、心より感謝します。

また、こんないい方法もあるよ、というご意見がありましたら、わたし(@toshi586014)宛にお知らせください。
もちろん、ストーリーに関するご感想も大歓迎です。

それでは、次回またお会いできることを、楽しみにしています。

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

【前回のお話】

タスククエスト休載のお知らせ | はれときどきくもり

【タスククエストまとめ】

タスククエストまとめ | はれときどきくもり

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