はれときどきくもり

人生晴れた日もあれば曇った日もある。いい時も悪い時も人生を楽しもう。

タスククエスト ーとある夕暮れの出来事ー

: 2012年8月18日

第十二話


もうすぐ日が暮れる。

夕陽に照らされた草原が、真っ赤に染まっている。
美しいはずのこの景色も、まもなく到来する魔物の時間のことを考えると、まるで恐ろしい生き物の一部のように見えた。
さらに、西側に広がる大きな森からは、魔物の触手のように影が伸びてきていた。

まだまだ弱い魔物たちばかりとは言え、初めての冒険の旅の緊張感からか、わたしと幼なじみの彼女は疲れていた。

「そろそろ野営の準備をしよう。」
わたしは彼女に向かって声をかけた。

「そうね。
じゃあ、としはあの森で薪を拾ってきてくれるかしら?
森の奥は危険だから、あまり入り込まないでね。」
彼女は、素早く荷物袋からジャブロ_防壁用の大きなテントのことだ_を広げながら、西に広がる森を指さした。

「ああ、分かってるよ。」
わたしは、重たい体に鞭打ちながら、森に向かって歩いた。

森から伸びる影の中に入ると、気温が下がりひんやりとする。
わたしは、思わず首を縮めて、ぶるりと身震いした。

草原と違い、森の中には強い魔物が蠢いているという。
わたしは辺りを警戒しながら、慎重に森に入り、薪を探した。
しかし、このあたりは湿気が多いのか、なかなか薪に適した木が見つからなかった。

乾いた枝を探して歩いていると、そよと風の流れを頬に感じて、わたしは振り返った。
その瞬間、鋭く空気を斬る音とともに、先ほどわたしの顔があった位置を、尖ったものが通過していった。

わたしはとっさに身を翻して、素早く数歩後ろに下がりながら、襲ってきたものの正体を確認した。

薄暗い森の中でも金色に光る固い甲羅。
そして、大きなハサミと鋭く尖ったしっぽ。しっぽの先からはドロリとした液体が滴っている。
あれは!大サソリ!!

その瞬間、眩暈に似た感覚があり、そのあと、世界がぐにゃりと回転するのを見た。
不意打ちを食らったのだ!危ないところだった。

わたしは、気持ちを落ち着けながら、戦闘の心得_状況の確認、装備の確認、魔物の分析、パーティーの戦略_を確認していった。
周りにほかの魔物の気配はないようだ。装備は、今構えているたけやりと、毒消し草がある。

そして大サソリの動きを警戒しつつ、大サソリに関するデータを頭の中で集めた。
確か、大サソリは群れでは行動しないはずだ。しかし、あの固い殻は、たけやりでは貫けない。最低でも銅の剣、できれば鉄の剣でなければならない、と『大魔物図鑑』に載っていた。
さらに、しっぽの先で刺されると、毒にやられてしまう。
彼女が離れている今は、かなり分が悪いようだ。

いっそ逃げるか?
しかし、このうっそうとした森を下手に走り回ると、道に迷ってしまい、さらに事態を悪くしかねない。

わたしは、心を決めて戦うことにした。たけやりでも、隙をついて柔らかい部分を攻めれば倒せるはずだ。

わたしは大サソリとの距離をたもちつつ、じりじりと右側に移動し始めた。
大サソリが巨大なハサミを構えながら、方位磁石の針が北を向くように、わたしの動きにあわせてゆっくり体を動かした。
もう少し…、わたしは慎重に移動した。

つられて動く大サソリの体が、地面から盛り上がった木の根っ子に乗り上げ、左半身が少し浮き上がった。

その瞬間、わたしは掛け声とともに大サソリに向かって一気に間合いを詰めた。
大サソリが、左のハサミを伸ばして襲いかかってきた。
わたしは素早くたけやりを地面に突き立て、棒高跳びのようにハサミと本体を飛び越え、大サソリの左側に飛び降りた。
着地と同時に、体を低く構え、渾身の力を込めて大サソリに体当たりをした。大サソリの足が皮膚を切り裂く感覚があるが、意に介している余裕はなかった。
その時、木の根で浮いていた大サソリの体が、体当たりでふわりと持ち上がり、目の前に巨大な腹が見えた。
わたしはこの機を逃さず、先ほど地面に突き立てたたけやりを素早く引き抜くと、大サソリの柔らかいどてっ腹めがけて、全体重をかけてたけやりを突き刺した。

ぐじゅじゅ

生々しい音を立て、たけやりが大サソリの腹に吸い込まれていくと、大サソリはガラスをひっかくような甲高い鳴き声をあげて仰向けに倒れた。

大サソリはひっくり返ったまま暴れていたが、やがて静かになった。
わたしは、乱れた呼吸を整えながら、腹に刺さったたけやりを抜くために、大サソリに近づいた。

ざしゅっ!

突然わたしは右足に激痛を感じた。しまった!大サソリを倒したと思って油断した。まだ息があったのか。
わたしは左足で素早く後ろに飛び、大サソリの様子をうかがった。
大サソリは今度こそ力つきたのか、ぐったりとして、やがて溶けて地面に吸い込まれていった。

わたしはほっとして足の傷を見たが、傷口が紫色になっていた。やはり、毒に侵されているようだ。
わたしは、毒消し草を取り出そうと、腰につけた道具袋に手を伸ばした。
しかし、先ほど大サソリに体当たりしたときにのダメージで、体が思うように動かなかった。

毒が回ってきたのか、眩暈がしてきた。はやる気持ちを抑えつつ、わたしは必死で毒消し草を取り出そうとした。
しかし、その頑張りもむなしく、わたしは胸に強烈な吐き気を感じて倒れ込んでしまった。

薄れゆく意識の中で、足音が聞こえるような気がした。
彼女が心配して探しに来てくれたのだろうか?
この辺りは危険だから、早く森から出るんだ!

わたしは、声にならない声をあげて、そのまま意識を失った。

解説

第十二話を読んでくださって、ありがとうございます。

さて、今回はタスク管理のお話が全く出てきませんでした!
それはなぜか!?

たまにはそういう回があってもいいかなと思ったからです。

ああっ!ごめんなさい!
石を投げないで!
ブラウザを閉じないで!!

本当は、たまにはタスク管理をお休みしてみませんか?とお伝えしたかったのです。
タスク管理をして、有意義な時間を作るのは、とても素晴らしいことです。
しかし、たまには何も考えずにのんびり過ごすことも大事ではないでしょうか?
また、タスク管理をお休みしてみて、見えてくることもあるので、一度お試しください。

と言うわけで(?)、としは絶体絶命のピンチを迎えます。
としが意識を失う前に聞いた足音は、幼なじみの彼女のものでしょうか?
それとも、別の誰かのものでしょうか?

そして、足音の主は、としの救世主か、はたまた地獄への使者か?

次回、乞うご期待!

読者コーナー

今回も読者コーナーのお時間がやってきました。
今回は、第十一話へのコメントを掲載します。

今回コメントをくださった方々はこちらです!
(掲載は、時間が早い順番です。)

たぁぼぉさんのコメントには、いつも勇気をいただきます!まさに、皆さんからのコメントは最高に嬉しいです!

じーにーさん、ありがとうございます!読んでいただけるのが、何よりの喜びです。

陣内さん、そうですね。チェックリストを使いまわすのは、テンプレートですね。チェックリストは繰り返し作業に向いているので、ぜひテンプレート化して、有効活用してください!

ひろきさん、てんちゃん一号オススメです!記録は重要なので、できるだけ簡単に取れる仕組みを作りたいところです。

みなさん、今回も素敵なコメントをありがとうございました。

というわけで、今回の読者コーナーは、これにて終了します。

いつも応援してくださるあなたに、心より感謝します。

また、こんないい方法もあるよ、というご意見がありましたら、わたし(@toshi586014)宛にお知らせください。
もちろん、ストーリーに関するご感想も大歓迎です。

それでは、次回またお会いできることを、楽しみにしています。

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

【前回のお話】

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