はれときどきくもり

人生晴れた日もあれば曇った日もある。いい時も悪い時も人生を楽しもう。

ふじもなおさんの”シチュエーションお題”をまたまた考えた

: 2012年7月31日

前回に引き続き、ふじもなおさんの「シチュエーションお題」を考えてみたよー。

いきなり前回と言われて、目を白黒させているあなた、前回の記事はこちら↓だよー。

ふじもなおさんの”シチュエーションお題”を考えた « はれときどきくもり

さー、いってみよー。

今回のお題はこちら!


上記の男の子は、一体何を見て、何を思っているのでしょう?

これだけでは足りないので前回通り説明を。

・学生服に斜め掛けバッグ
・視線の先には花屋さん
・少年はその場で立ち止まっている
・花屋は1時間に1人、客が入る程度
・少年の学生服は夏服

それでは、はじまりはじまりー。

毎週末のこの時間が、わたしの唯一の楽しみだ。

今週も太陽がひどく照りつけているが、わたしには全く苦にならなかった。
わたしは、今にもスキップしそうな勢いで、商店街に向かって歩いた。

商店街に入ると、まずいつものように花屋に向かう。
すると、花屋のやや手前に、一人の少年が立っていた。

彼は、夏らしく半袖のシャツに学生ズボンをはいている。

「少年、今日も来てたのか!」
わたしは少年に話しかけるが、彼は全く見向きもせず、ただじっと花屋を見つめている。

わたしは彼の気を引くため、肩から斜めがけした鞄に注目して、再び話しかけた。
「その鞄、かっこいいな!
わたしが学生の頃は、肩紐なんてなくてな。
重たくて分厚い鞄を、ひぃこら言いながら手に提げて持ったものさ。」

しかし、彼は返事をするどころか、わたしの方を振り向きもしなかった。
この暑さにも関わらず、彼は汗一つかかず、微動だにしない。

わたしは、諦めて花屋_と言っても、生花ではなく造花を扱う店だ_に入った。
花屋の奥には、こちらも造花かと見紛うばかりの美しい女性が立っている。

わたしは、にやつく顔を無理矢理引き締めながら挨拶した。
「やあ、今日も来たよ。
相変わらず、客足は悪いみたいだね。
こんなに素晴らしい品ぞろえなのに。」

店主の彼女は、美しい顔を崩さず、微笑んだままだ。
わたしの言い方がまずかったのだろうか?

「すまない。
用事があることを思い出した。
またくるよ。」
もう少し話をしたかったが、今日は早々に退散することにした。

花屋を出ると、まだ少年が立っていた。

「じゃあな、少年。
次に会った時には、名前を教えてくれよ。」
わたしは、少年に声をかけたが、やはり彼はこちらを見もしなかった。

わたしは、少し離れたところにある店に入った。

ここは古びた喫茶店だ。
マスターも店にふさわしい古びた感じだが、それが店の雰囲気を重厚な物にしていた。

「やあ、マスター。息災かい?」
わたしは、マスターにひときわ元気な声をかけて、いつもの席に座った。

「いつものスペシャルブレンドを頼むよ。」
わたしはにこやかに言ったが、マスターはむすりとしたまま動こうとしなかった。

「そうかい。
今日もセルフサービスなんだね。」
古びた店に相応しく、マスターも昔気質らしく、気に入った客にしかコーヒーを作ってくれないのだ。
わたしは、いつかマスターにコーヒーを作ってもらうことを夢見て、今日も自分でコーヒーを淹れた。

コーヒーの濃厚な香りが、静かな店内に漂う。
店内には、何人かの客がいるが、店の雰囲気を壊さないためか、皆静まりかえっている。

「ごちそうさん。」
コーヒーを飲み終えたわたしは、カウンターの上にお金を置いて店を出た。

カランカラン、とドアチャイムの乾いた音が、熱い空気の中に鳴り響く。

さてと…。
わたしは、本屋に向かった。

「やあ、今週の新しい本は何かな?」
わたしは大きな声で挨拶をしたが、返事はなかった。
やれやれ、また店を空けているのか。
ここの店主はいつも店番をほったらかして、どこかに行っている。
まあ、万引きの心配はないからいいようなものの。

わたしは、相変わらず変わり映えのしない本棚を眺めて、店内を歩いた。
歴史コーナーに行って、新しい近代史の本を探すがなかった。

「やっぱり、今週も入荷してないのか。」
わたしはがっくりと肩を落とした。

そして、しばらく店内をぶらぶらしたあと、誰もいない店内に向かって声をかけて本屋を出た。

おっと、そろそろ一時間が経つ頃だ。
わたしは、再び花屋を目指して急いだ。

花屋の前には、相変わらず少年が立っていた。

「よお!まだいたのかい?
そろそろ、お家に帰らなくていいのか?」
わたしは努めて明るい声で挨拶をしたが、彼は無言で花屋を見つめたままだった。

わたしは、ふと寂しさと苛立ちを覚えて、彼に近づいた。
そして、彼の肩に手をかけて声を荒げた。
「いい加減に何とか言ったらどうなんだ!
何を考えているんだよ!」

しかし、彼は微動だにしない。

わたしは、体の力が抜けていくのを感じながら、深くため息をついた。

「仕方ないよな…。」
わたしは力なくつぶやいて、学生服を着た少年のマネキンの肩についたほこりを払い、元来た道を歩いた。

もうしばらくすると、恐ろしい太陽フレアが始まる。
一週間のうちのこの時間帯以外は、太陽の活動が活発になり、磁気嵐や放射線が地球に降り注ぐのだ。
もちろん、少年や花屋、喫茶店、本屋のマネキンたちにも…。

わたしは冷凍睡眠の実験を志願して、地下深くで眠っていた。
ある日、目が覚めると、冷凍睡眠を制御するコンピューターに、メッセージが残されていた。

それは、太陽の活動が活発になることにより、電子機器が異常をきたし世界が滅茶苦茶になるだろうこと。
そして、そのあとに地球を襲う放射線で、人類は死滅するだろう、という科学者たちの予測だった。

もしかしたら、生き残りがいるかもしれない。
その時は人類の未来を頼む、と締めくくられていた。

しかし、あれから何年もの間さまよったが、発見できたのはこの商店街の廃墟だけだった。

わたしは生き残った人を捜すことを諦め、ここで生活をすることにした。

今日も誰とも会話できなかった。
最後に誰かと会話をしたのは、いつのことだろうか…。
わたしが最後に聞いた言葉は、何だったのだろう?
「おやすみ」だろうか、それとも、「良い未来への旅を」だろうか…。

わたしは絶望的な気持ちでため息をついた。
しかし、それでも一週間経つと、いてもたってもいられなくなる。

毎週末_と言っても正確な曜日はとっくに分からなくなっているが_のこの時間が、わたしの唯一の楽しみだ。

今回は、前回から一転SFになりました。
星新一さんのファンなので、その影響がモロに出ていそうです。
それにしても、書きながら切なくて泣きそうになりました。

今回も楽しんで書くことができました。
ふじもなおさん、ステキなお題をありがとうございます!

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。

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