はれときどきくもり

人生晴れた日もあれば曇った日もある。いい時も悪い時も人生を楽しもう。

タスククエスト ーチェックリストはかく語りきー

: 2012年7月5日


 

第五話

 


photo credit: PAKUTASO
 

「なんであいつを誘ったりしたんだ?」
町外れの防具屋を目指して、少し傾き始めた日差しの中を歩きながら、わたしは幼なじみの彼女に尋ねた。
あいつとは、酒場で会った若い男のことだ。
初めて会った得体の知れない男を仲間に誘うなんて!
 

「あら、冒険の旅には仲間がつきものじゃない?
それに、彼、準備もすっかり終わらせてたし、なかなかの使い手みたいだもの。」
彼女はこともなげに答える。
 

わたしは若い男のことを思い出していた。
手際の良さ、知的な雰囲気、そして、さわやかな笑顔…。
いや、最後は関係ないか。
 

しかし、確かに過酷な冒険の旅に、仲間は必要だ。
そして、何となく認めたくはないが、あの若い男はできそうだ。
 

わたしが、そんなことをもやもやと考えているうちに、町外れの防具屋に着いた。
 

彼女は手帳を開けて、チェックリストをわたしに差し出した。
「まず初めの項目は完了ね。」
と言って、器用にペンをくるくると回しながら、わたしに差し出した。
 

わたしはペンを受け取って、チェックリストの最初の一文レ 酒場から町外れの防具屋にゴー!。5分に、レ点を入れた。
左側には、彼女が自分で使った時のレ点が入っているので、右側に入れた。
ふむ、チェックを入れるのは、いかにも終わったという感じがして、なかなか気持ちいいものだ。
 

そんなことを考えながら、わたしは下の方に視線を動かした。
一行目と二行目は少し間があいている。
そして、二行目から三行の文が固まって書かれている。
レ 町外れの防具屋でかわいい旅人の服を選んじゃえ。 5分
レ 町外れの防具屋でお洒落な旅人の帽子を選ぶわよ。 5分
レ 町外れの防具屋で旅人の服と旅人の帽子を買ったら満足ね。 2分
 

「こんなに細かく分けないで、一つにまとめて、最後にチェックしたらいいんじゃないか?
例えば、こんな感じにしたらどうだろう?」
わたしは、疑問を口にした。
そして、手帳の一行目と二行目の間に_彼女曰く見た目の割にちまちました字で_小さく書き込んだ。
町外れの防具屋で旅人の服と旅人の帽子を選んで買う。 12分
 

彼女は、手帳を覗き込んで、わたしが書いた文を見ながら言った。
「そうね。それでもいいわよ。
ただ、チェックリストをどこまで細かくするかは、使う人や作業内容にも依るから、必ずこれ、というのはないのだけど、考えずに作業できる、というのが一つの目安ね。
あと、やってみると分かるけど、チェックをすることで、作業が終わったという実感が強まって満足するの。
だから、適度なタイミングで満足するように作業を分割して、作業に飽きないようにすることも大切なのよ。
あとね、そんな四角四面な文章だとつまらないでしょ。せっかくだから、わたしみたいに盛り上がる文章にした方が、楽しくできるわよ。」
 

ふーん、そういうものか。
確かに、さっきチェックした時は気持ちよかったもんな、とわたしは思い出しながら考えた。
それに、彼女のチェックリストの方が、かわいい旅人の服_そんなものがあるのかという疑問は置いといて_とか書いていて、楽しそうだ。
 

そんなことを考えている間にも、彼女はさっさと防具屋の扉をくぐっていた。
わたしは急いで彼女の後を追い、中に入った。
 

「さて、次はこれね。」
彼女はわたしが持っている手帳を覗き込んで、次の一文を指差した。
レ 町外れの防具屋でかわいい旅人の服を選んじゃえ。 5分
 

まずはかわいい旅人の服か。
選んじゃえー!
と、変なテンションになってきたわたしは、雑多な店内をうろうろして、旅人の服を探した。
店内は所狭しと様々な防具が並んでいる。
 

えーと…。
お、あった。
わたしは、かわいい(?)旅人の服を手にとって、旅人の帽子を探そうとした。
 

「終わったらすぐにチェックを入れてね。」
彼女が手帳を指差して、わたしを促した。
 

おお!そうだった。
わたしは、心の中で『チェーーーック』と叫びながら、先ほどと同じように右側にレ点を入れた。
ふむふむ、確かに満足するぞ。
 

えーと、次は…、わたしは手帳を見た。
レ 町外れの防具屋でお洒落な旅人の帽子を選ぶわよ。 5分
そうか、お洒落な旅人の帽子だな。
よし、選ぶわよ!
 

わたしは、またも店内をうろうろして、旅人の帽子を探した。
 

これか、いや違うな。
それともこれか、いやいや。
おっ!あった。
お洒落な(?)旅人の帽子を見つけたわたしは、それを手に取った。
 

さて、忘れずに『チェーーーック』とばかりに、わたしは手帳にレ点を入れた。
 

さあ、次は何だ?
わたしは、変に高揚して、何でも来いという気分になってきた。
レ 町外れの防具屋で旅人の服と旅人の帽子を買ったら満足ね。 2分
よし、あとは買ったら満足だ!
 

わたしは、防具屋の主人に向かって、旅人の服と旅人の帽子を差しだした。
「はい、ありがとよ。
おや、お嬢さん。今日は二回目だね。
今度は彼氏のお買い物かい?」
ごつい見た目の割に愛想のいい防具屋の主人が、わたしの後ろにいる彼女に向かって話しかけた。
 

「ええ、まあ、そんなところね。」
さらっと彼女が答えたので、わたしはドキッとした。
そーっと後ろを振り返ると、彼女がわたしを見て、ニヤニヤしている。
はっ!またからかわれた!
彼女が、わたしのドキドキするところを見て楽しんでる、ということを知ったのはいつのことだったか…。
 

わたしはやや落ち込みながらも、チェックリストにレ点を入れ、買ったばかりの旅人の服と旅人の帽子を身に着けた。
 

同じように道具屋と武器屋_たけやりは購入済みなので立ち寄っただけ_を回り、冒険の旅の準備が終わった。
 

その時ちょうど時の鐘が、一時間の経過を告げて、晴れ晴れと鳴り響いた。
 

彼女は、まるで時の鐘の音に合わせて踊るように、手を広げてくるりと回りながら言った。
「ほらね。このチェックリストに書いてるとおりに作業するから、迷う暇もなくできたでしょ。
これが、3.頭を使わないから作業が早いということなの。」
 

時の鐘の音色とともに、なおも彼女の声は鳴り響く。
「それに、このチェックリストはわたしが作ったけど、としも使うことができたよね。これが、4.再現できるということよ。
今回のように、自分以外で再現してもいいし、自分自身で再現してもいいのよ。」
 

わたしは、なるほどと思う反面、わき出る疑問を口にした。
「自分自身で再現すると言っても、もう冒険の旅の準備は終わったから、いらないだろ?
それに、レビューの説明で大事なのは改善して次に役立てることって言ってたけど、それも半分納得できなかったんだ。
だって、冒険の旅の準備は今回限りなんだから、改善しても意味がないじゃないか。」
 

徐々に小さくなる時の鐘に合わせて、彼女の声も小さくなる。
「そんなことはないわ。
現に、今だってとしが使えたんだから、役に立ったでしょ。
それに、自分で思っているより、毎日の生活で似たようなことは起こるのよ。
例えば、毎日の冒険の前に装備を確認するために使うこともできるわ。」
 

時の鐘が鳴り終わり、一瞬周囲が静寂に包まれた。
その静寂を切り裂くように、彼女の声が大きく響いた。
「チェックリストにはいろいろ利点があるけど、一番の利点は再現できることだと思うわ。
なぜなら、日々の生活の中では、繰り返し作業がとても多いからよ。
それらの繰り返し作業を、気分や体調に左右されずに淡々と再現してこなせることは、時間を有効に使うためにとても大事なことなのよ。」
 

彼女は神の言葉を告げる宣教師のように厳かに言うと、夕日を浴びながら歩き出した。
 

もうすぐ一日が終わる。
夜は魔物たちの時間だ。
 

夕日に包まれる彼女に、神々しい雰囲気を感じながらも、わたしは夜の到来に気を重くして、彼女のあとを歩き始めた。
 

解説

第五話を読んでくださって、ありがとうございます。
 

さて、第一話より続いた冒険の旅の準備も紆余曲折ありましたが、なんとか終わりました。
としもわずかな間に、道具へのこだわりや、チェックリストの活用法、さらにはレビューの重要性の片鱗に触れることができました。
もちろん、まだまだ改善すべき点はありますが、それはこれからの冒険を通じて、成長とともに学んでいくことでしょう。
 

ところで、第一話の解説で、チェックリストの良さを実感した、とお伝えしました。
どんなことかと言うと、早朝ランニングのチェックリストを作ったのです。
 


↑ご参考までに、その一部を紹介します。
 

こんなことまで書かなくても、と思われるかもしれません。
しかし、朝早くに起きて、頭がぼんやりしてる中で準備をするので、チェックリストを見ながら、なにも考えずに作業できるとずいぶん楽です。
それは、まさに幼なじみの彼女が言った、『気分や体調に左右されずに淡々と再現してこなせること』という台詞の通りです。
 

さあ、大変お待たせしました!
それではここで、応募してくださったチェックリスト案を紹介します!
(送っていただいた順番です。)
 

まずは、真波さん(@spamotch
 

チェックリスト、これでどうでしょうか…自信ないなあ。□近い順に買う!酒場を出たら周りを見る □武器屋に行く □たけやりを買う □防具屋に行く □旅人の服を買う □旅人の帽子を買う □道具屋に行く □薬草を買う □毒消し草を買う

 

としと違って、きちんとお店を効率的に回れるように、順番に配慮しているのが素晴らしいです。
また、お店への移動と、購入が別々になっているのも分かりやすくていいですね。
 

次は、さいころけいさん(@dice_k1316
 

つ[□ハーヴェストに命令する]とチェックリストが浮かぶ程度のジョジョ脳です。はじめまして。「タスククエスト」いいですね。次回更新を楽しみにしています。

 

なんと、わたしの大好きなジョジョネタです!
確かに、ハーヴェストに集めてもらえば、あっという間に準備は終わりますね。
「見つけたど、シシシ。」
 

最後は、はまさん(@Surf_Fish
 

どこで買う?どのぐらい買う?購入にどの程度時間がかかる?があるといいですね。+αとしては、買う目的(重要度)、買う場所の下調べ、買う順番ごとにリストを並べ替えるといったところでしょうか。

 

さすが、タスク管理マスターはまさん!
見事な回答です。
幼なじみの彼女も、買う目的(重要度)までは考えていませんでしたね。
 

みなさん、とても素晴らしい内容で、わたくし感激しております!
本当にありがとうございました!
 

いつも応援してくださるあなたに、心より感謝します。
 

また、こんないい方法もあるよ、というご意見がありましたら、わたし(@toshi586014)宛にお知らせください。
 

それでは、次回またお会いできることを、楽しみにしています。
 

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。
 

今回の写真加工に使ったアプリはこちら↓です。
 

PhotoForge2 2.1.91(¥85)

カテゴリ: 写真/ビデオ, エンターテインメント
現在の価格: ¥85(サイズ: 24.5 MB)
販売元: GhostBird Software – GhostBird Software
リリース日: 2011/05/19
現在のバージョンの評価: (2件の評価)
全てのバージョンの評価: (66件の評価)
App + iPhone/iPadの両方に対応


 

【前回のお話】
タスククエスト ーレビューを制するものはタスク管理を制するー | はれときどきくもり

 

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タスククエスト ー誰がために鐘は鳴るー | はれときどきくもり

 

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タスククエスト ー冒険の準備はチェックリストでー | はれときどきくもり

 

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