はれときどきくもり

人生晴れた日もあれば曇った日もある。いい時も悪い時も人生を楽しもう。

タスククエスト ー誰がために鐘は鳴るー

: 2012年6月27日


 

第三話

 

「お待たせ、とし。
チェックリストはできた?」
幼なじみの彼女は、酒場の扉を勢いよく開けて、真っ直ぐわたしに向かって歩きながら言った。
 

まるで春一番だな、と思いながら、わたしは手帳を持ち上げて、彼女にひらひらと振って見せた。
 

「もちろん。
簡単にできたから、コーヒーが冷めるまでずいぶん待ったよ。」
実際は、いろいろと悩んだので、五杯目のコーヒーが冷めるまでなのだけど…。
わたしは水っ腹を押さえながら、素知らぬ顔で答えた。
 

「ふーん、まあいいわ。
じゃあ、これからそれぞれのチェックリストを持って、準備しましょう。
時間は…、そうね。」
と言いながら彼女は手帳をパラパラとめくる。
 

チラと彼女の手帳を見て、わたしは驚いた。
ん?なんだかたくさん書いてるな。
わたしは、一ページの半分くらいしか書いていないのに。
いやいや、彼女は見た目のわりに大きくて豪快な字を書くから、たくさんに見えただけだろう。
わたしは若干の不安を覚えながらも、何とかそれを否定した。
 

「一時間後くらいかしら。
一時間経ったら、終わってなくてもここに戻ること。いいわね?」
彼女は相変わらず有無を言わせぬ口調で言い放った。
彼女の「いいわね?」が、「もちろんいいわね?」の意味だと分かったのはいつのことだったか?
 

きっと一時間もあれば冒険の旅の準備くらいできるだろう、と特に根拠もなく思ったわたしは、勢いよく頷いた。
顔を上げると、すでにわたしの前から姿を消した彼女は、酒場の扉を開けようとしていた…。
彼女は春一番ではなくて、竜巻かな。
 

「くっくっくっ。」
わたしの後ろから、笑い声がきこえる。
 

くるりと振り返ると、カウンターに背中をもたせかけて、若い男がこちらを見ている。
歳はわたしと同じくらいで二十歳前後か。涼やかな顔立ちと知的な瞳が、見るものの目を引く。
いや、わたしも負けていない。少なくとも身長は…。
 

「何か用かな?」
わたしは唯一勝てそうな身長を強調するように、胸をそらしながら若い男に向かって歩いた。
 

「いや、失礼。
あまりにも威勢のいい彼女だな、と思ってね。」
と言うと、若い男はニコッと笑った。
そのさくらが満開になったような笑顔につられて、わたしもニコッと笑った。
 

よく見ると、若い男もエボ_わたしも今かぶっている、成人の儀式でかぶる帽子_をかぶっている。
ということは、若い男も今日成人を迎え、冒険の旅にでるのだ。
 

わたしは、仲間ともライバルとも言える若い男を改めて眺めた。
すでに冒険の旅の準備は終わっているようだ。
旅人の服に、旅人の帽子。そして、短剣を腰に刺している。
ふーむ、短剣といい、知的な雰囲気といい、魔法使いタイプだな。
 

「早く準備に行かなくていいのかい?
そのチェックリストだと、よっぽど急がないと間に合わないぜ。」
若い男は、相変わらず涼やかな声でいった。
おっと、そうだった!
彼女が一時間と言ったら、本当にぴったり一時間だから、遅れることは許されない。
 

わたしは、若い男のそのチェックリストという言葉が気になりながらも、早足で酒場をあとにした。
 

わたしが外にでると、時の鐘が鳴り響いた。
一時間ごとに時を知らせるその清い音色は、皆の生活を導く道標だ。
よしよし、次の鐘が鳴るまでに、準備を終わらせたらいいんだな。
 

「さて、では準備をするか!」
わたしは、意気揚々と町の中心にある市場を歩いた。
まずは何をしようかな…、おっと、こんな時のためのチェックリストだった。
わたしは真新しい手帳を開いて、最初のページを見た。
 


 

たけやり
旅人の服
旅人の帽子
薬草
毒消し草

 

よしよし、ばっちりだ。
なんと言っても、わたしが苦労して書き上げたチェックリストだからな!
特に、最後の毒消し草を付けるか否かで、コーヒー二杯飲んだくらいだ。
 

最初はたけやり、と。
えーと、たけやりをどうするんだったかな…?
そうだ!武器屋に買いに行くんだった!
よし、いよいよ武器屋だ!
 

わたしは意気込んで武器屋に向けて歩き出した。
しかし、武器屋はこの市場の中では、酒場のほぼ反対の端に位置する。
わたしは柔らかい春の日差しで暖かくなった町を眺めながらのんびりと歩いた。
 

武器屋に着いて扉をくぐると、中には武器が並んでいた。
やっぱり、冒険の旅と言えば武器だろう!
わたしは胸の奥に熱いものを感じながら、こんぼうや銅の剣を握っては、妄想にふけっていた。
 

おっと、いけない。
どの位時間が経ったのだろう?
わたしはふと我に返った。
そして、急いでたけやりを手にとって、お金とともに武器屋の主人に差し出した。
 

「今日は来客が多いね。
お客さんで三人目だ。」
やたらと体格のいい武器屋の主人は、そう言ってたけやりとおつりをわたしに渡した。
三人目ということは、さっきの若い男と幼なじみの彼女とわたしで三人か。
 

次は旅人の服だな。
わたしは、防具はそれほど燃えないなあと思いつつ、防具屋を目指した。
 

防具屋は近くにあったので、すぐに着いて扉をくぐった。
しかし、中に入るとどれも高そうな鎧ばかりだ。
 

旅人の服を探して店の中をうろうろしたが、どうにも見つからないので、店の端にどっしりと座っているやけに体格のいい防具屋の主人に尋ねた。
「旅人の服はありますか?」
 

店主は見た目とは裏腹に、愛想の良い声で答えた。
「あいにくここにはないが、町外れの防具屋にならあるはずさね。
しかし、今日初めてのお客さんなのに、何も買ってもらえないのは残念だ。
どうだい?伝説のロットの鎧を安くしておくよ。」
 

伝説の鎧なのに安くするってどういうことだ?
しかも、【ッ】がよけいな気が…。
おっと、今は彼女がいないから、誰もつっこんでくれないんだった。
 

しかし、防具屋の主人は気になることを言ったな。
初めての客だって?
なら、あの若い男と彼女はここに来てないのか?
 

まあいい。
細かいことを気にしないともっぱらの噂(?)のわたしは、町外れの防具屋を目指して歩いた。
 

町外れの防具屋は、酒場を越えていった先にあるはずだ。
わたしは駆け回る子どもたちや、おいしそうに並ぶ色とりどりの果物を眺めながら、のんびりと元来た道を歩いた。
 

酒場の前を通りかかると、中からわたしを呼ぶ声が聞こえた。
「あら、とし。珍しくぴったりね。」
ちらりと声がした方を向くと、彼女が扉越しに、こちらに向かってひらひらと手を振っている。
 

まさにその瞬間に、一時間の経過を告げる時の鐘が鳴り響いた。
その音色は、地獄からの鎮魂歌か、はたまた魔物たちのうめき声かのように聞こえた。
 

なぜわたしは瞬間移動魔法か透明魔法を収得していなかったのか、という哲学的考察をたっぷり三秒したあと、わたしは諦めて酒場への扉にゆっくりと手をかけた。
 

解説

第三話を読んでくださって、ありがとうございます。
 

としは初めて作ったチェックリストに自信満々でしたが、冒険の旅の準備は惨憺たる結果に終わりました。
 

さて、ここでいきなりお題です。
今回のとしの反省点をふまえて、こんなチェックリストにしたら良かったのに、というものを作ってください。
作った方は、わたし宛にTwitter(@toshi586014)で送ってください。
 

我こそはタスク管理マスターだ!というあなた!
タスク管理ってよくわからない、というあなた!
タスク管理よりお笑いネタが好きだ!というあなた!
 

どんな内容でも構いません。
真面目なものから、笑えるものまで、あなたのチェックリストをお待ちしています。
 

そして、今回は重大発表が二つあります!
 

じゅんさん(@jun0424)のブログでタスククエストを取り上げていただきました!
じゅんさんは、タスククエストが完成したらぜひ漫画化したい、とも仰ってます。
ありがたいことです。
ありがたすぎて、わたくし感動の涙が止まりません。
 

少年ライフハック « 4コマでわかる!ITのこと

 

さらに、なんとゆのきさん(@yunokixxx)が、タスククエストのロゴを作成してくださいました!
冒頭のチェックリスト風ロゴです!
とても素晴らしいロゴで、わたくし感動の鼻血が止まりません。
 

すみっこの記

 

いつも応援してくださるあなたに、心より感謝します。
そして、そのお気持ちに応えるためにも、よりおもため話(面白くてためになる話)を書いてまいります。
 

また、こんないい方法もあるよ、というご意見がありましたら、わたし(@toshi586014)宛にお知らせください。
 

それでは、次回またお会いできることを、楽しみにしています。
 

晴れた日も、曇った日も、素敵な一日をあなたに。
 

今回の写真加工に使ったアプリはこちら↓です。

Snapseed 1.4(¥450)

カテゴリ: 写真/ビデオ, ライフスタイル
現在の価格: ¥450(サイズ: 17.8 MB)
販売元: Nik Software, Inc. – Nik Software, Inc.
リリース日: 2011/06/07
現在のバージョンの評価: (133件の評価)
全てのバージョンの評価: (268件の評価)
App + iPhone/iPadの両方に対応


 

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